朝帰りもため息
先日のデートの話─。
その日は昼から出かけて、
お酒を飲んだ。
早い時間から飲むってほんとに最高。
しかも外で飲んだからなおさら気持ちいい。
そして夜は久しぶりに2丁目へ。
何軒か彼のよく行くお店をハシゴしたんだけど、昼から飲んでるからお互いふらふら。
かなり酔っ払ってるんだけど、
それでもなんとなくわかってしまうことがある。
脈が─ない─。
感じが悪いからとかじゃない。むしろすごく良い。優しい。
でも脈はない。
今まで何度も経験したこの感覚。
普段は地震に気づかないくらい鈍感なのに、細かな仕草や表情、雰囲気から感じとってしまう。
とても悲しいけど、ひーんって泣くほどでもない。
「あーあ」
これが1番近い感じかなぁ。
諦めのような、ため息のような。
最終的に彼の家に泊まったんだけど、
翌日用事があったので、
携帯のアラームで朝早く自分を起こした。
彼はアラームに動じず、ぐっすり眠っていて、彼の飼っている猫がそばに座ってた。
手を伸ばして撫でてみたら、気持ち良さそうにしている。
─ように見えたんだけど、突然シャッ!!って引っかかれてしまった。
少しずつ指に血がにじんでくる。
痛─。
猫の爪ってするどいんだなぁ。
静かに服を着て、何も言わずに去るのもアレだから、「じゃあ行きますね」って彼に言ったら、顔をちょっと上げて「あ。うん、また飲もうねー。」って。
それだけかぁ。
まぁ半分寝てるしね。
静かに玄関のドアを閉めて、マンションのエレベーターをくだり、外に出る。
どこだよここ…。
どうやって帰ればいいんだよ…。
グーグルマップを携帯で開きながら、
とぼとぼ歩き出す。
猫にひっかかれた指が、ずきずき痛い。
あーあ。
お腹すいたなぁ。
帰ったらちょっとだけ寝直そう。